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児玉会長:新年のご挨拶

2023年1月1日
一般社団法人 ペットフード協会

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様におかれましては、2023年の新春を健やかにお迎えになりましたこと、心よりお慶び申し上げます。

年末に向け、原油価格や円安基調にあった為替水準はやや落ち着きを取り戻しましたが、世界情勢の混迷が続くなどの影響を受け、 ほとんどの原材料の価格が高騰し、家計・産業・企業ともに、その対応に追われる2022年でした。新型コロナ感染防止策の緩和による、 社会活動の活性化が進む今年は経済の回復を期待したいと思います。 毎年 当協会が実施している「全国犬猫飼育実態調査」によりますと、昨年も新規に犬や猫を迎え入れた世帯はコロナ禍前に比べ、 10%以上増加しました。その数は、犬が42.6万頭(2019年35.0万頭)、猫が43.2万頭(同39.4万頭)となりました。 新規のペット飼育世帯は増加傾向にありますが、昨年の総犬飼育頭数は、前年比99.3%の705万3千頭となり、 寿命を全うした犬の数を新規の飼育頭数で補うことが出来ませんでした。猫の総飼育頭数は、飼育世帯率が若干低下したことが影響し、 前年比98.8%の883万7千頭となりました。しかし、猫の場合は2013年からは緩やかな増加傾向が続いています。 人口減少、少子高齢化、単身世帯増加、有職主婦増加など、日中 家に人がいない世帯が増えていることが、 飼育されるペットが増えない背景にあると考えられます。こうした背景に加え、市場に供給される動物の頭数が減少を続けている日本だけの構造的な課題も存在しています。 昨年6月にマイクロチップ装着の義務化が施行され、第4次動物愛護管理法で、定められた規制・取組みの全てが運用されるようになりました。 動物福祉に則った繁殖の環境が整ったことで、健全な繁殖・飼養が進展するものと期待しています。同時に、健康状態が良く、健全に成育できる動物をより多く、 消費者に届ける条件整備・枠組み作りへ、ペット産業全体で取り組んでゆく必要があります。飼育頭数の増加に向けた議論・活動に当協会も積極的に参画して参ります。 一方、ペット飼育頭数が増加しない要因に、ペット飼育意向の低下があります。現在犬非飼育世帯における今後の飼育意向は、7.7%(2019年9.9%)、 猫の場合5.5%(同7.5%)でそれぞれ2%P以上の低下となっています。ペットとの生活は、健康増進に寄与し、安らぎや癒しなど心の平穏をもたらし、 犬の散歩仲間の存在が社会からの孤立を防ぎます。しかし、世の中に発信されるペットに関する情報は、「可愛い」 「可哀そう」 「終生飼養義務」などのものが多く、 ペットとの生活がもたらす心身の健康への効用や周囲との繋がりの醸成など人々の豊かな生活に貢献している内容に関する発信は、まだまだ限定的です。このような状況が、 飼育意向の低下に繋がっていると考えられます。当協会では、ペットとの生活に関する疫学研究を支援しております。研究から得られたエビデンスに基づいた、 ペットとの生活の身体的な価値・心理的な価値・社会的な価値を今まで以上に発信して参ります。また、価値ある情報を多くの団体と共有し、業界全体の情報発信力を強化し、 飼育意向の上昇・需要喚起に取り組んで参ります。

昨年の原価高騰は、ペット産業にも大きな影響をもたらしました。ペットフード市場では、これまで ペットフード協会会員社が中心となって、 健康配慮フードやグルメフードなど付加価値の高い商品を提案することで、消費者の購買意欲を刺激してきました。こうした商品の販売構成比を高めることで、 キログラム当り単価を上昇させ、市場拡大を継続して参りました。しかし、昨年は、そうした商品構成改善による単価上昇に加え、 主要ペットフード全ての価格帯が原価高騰の影響を受け 価格が上昇しました。その上げ幅は、数%程度から10数%とバラつきがあり、 価格帯毎の相対値が変化し、消費者の商品選択に影響を及ぼしたと考えられます。昨年10月に、当協会が実施した市販ペットフードの支出に関する調査では、 主食にオヤツを加えた犬一頭当りの月間支出は、5,257円となり、2021年から2.9%増加しました。一方、猫一頭当りの支出は、4,233円で、 前年比マイナス2.1%となりました。ともにコロナ禍以前と比較すると高い水準にありますが、安全・安心で、 ペットにも飼い主にも喜ばれるペットフード の使用機会や使用頻度を増やす新しい価値提案や情報発信が更に必要となっています。 ペットフード協会は、三つの専門員会の活動を通して、ペットフードの安全性の確保と品質向上に取組み、 会員会社が新しい満足を提供し易くする環境の整備に今年も努め、市場の成長に貢献して参ります。

ペット関連産業が今後とも継続的に発展するために、さらなるご支援をよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人ペットフード協会
会長 児玉 博充

 

 

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