ごあいさつ
ペットフード協会は、協会会員社の協力のもと、技術委員会・安定供給委員会・普及啓発委員会の活動などを通して、 ペットフードの安全性の確保と品質向上に取組み、大きく分類すると①ペットの命を護る事業、②ペットの健康を支える事業、 ③ペットとのより良い生活に関する啓発事業を行っています。こうした三つの事業の具体として、ペットフード品質ガイドラインの策定や 3つの資格検定制度(ペットフード・ペットマナー検定、ペットフード販売士認定制度、ペットフード安全管理者認定制度)の推進、 また、全国犬猫飼育実態調査などを行っています。加えて、2022年12月には、当協会会員社の支援を受けて、 一般社団法人全国ペットフード・用品卸商協会様と協力し、賞味期限の近いペットフードを神奈川県内5か所の動物保護センターに無償提供し、 譲渡活動を支援・促進し、且つ協会会員社のペットフードロスやその廃棄削減の両立を図る「ペットライフサポート」を開始しました。 先行スタートした神奈川県の施設に加え、順次エリアの拡大を図って参ります。
ペットとの生活は、健康増進に繋がる身体的価値があります。また、安らぎを得たり、ストレス緩和を得られる心理的価値もあります。 加えて、高齢者の介護状態を軽減したり、介護費用の半減=社会保障費の削減効果も明らかになってきました。社会保障費の削減は、 ペットを飼っていない人にとってもペットの存在は社会的な価値があると言えます。しかし、人口減少・少子高齢化や単身世帯増加などの 人口動態の変化と、併せて動物を繁殖・飼養するブリーダーの数が減っている影響を受けて、我が国では、ペットを飼育する世帯の減少が続いています。 心理的価値・身体的価値・社会的価値を享受できる世帯が減っていることは、我が国にとって、大きな課題と言えます。 一方、動物福祉の観点では、2022年6月に義務化されたマイクロチップの装着によって、第4次改正動物愛護管理法で定められた全ての 規則・基準が施行されました。動物福祉に則った繁殖・飼養の体制が整いました。健全な動物を多くの生活者に届けるための環境整備や枠組み作りを 業界全体で取り組んで行く必要があります。当協会もこうした活動に貢献して参ります。 加えて、ペットの飼育意向・需要喚起を目的とし、ペットとの生活の価値やペット飼育に関する不安を解消するソリューション提案を 行う広報活動の強化に取り組んで参ります。現在飼育率同様、今後の飼育意向は低下傾向にあります。現在の犬の飼育世帯率は9.7%です。 一方今後に飼育意向は7.7%です。猫の場合も現在飼育率8.6%に対し、今後意向は5.5%となっています。こうした低下傾向が著しいのが ミレニアル・Z世代と言われる20歳代・30歳代です。アメリカでは、犬の総飼育頭数の48%がミレニアル・Z世代に飼われています。猫は47%です。 一方、日本の同世代の犬の飼育頭数構成比は約30%、猫の場合は28%で、大きな差があります。日本の若年者の飼育阻害要因は、経済的負担と 飼育経験がないことによる世話の実態が理解できないことや仕事と世話の両立に対する不安などが挙げられます。飼育経験がないことによる不安解消には、 「可愛い・可哀そう」と言った限定的な情報だけでなく、それぞれのライフスタイルに適した動物提案やしつけなどの生活情報を多くのタッチポイントでの 発信を強化する必要があります。当協会が支援する、疫学研究のエビデンスによるポジティブ情報の発信、3つの価値の発信と連動し、 若い世代を中心とした生活者の飼育意向喚起に努めて参ります。また、他の団体が所有される価値ある情報を共有する機会を創り、業界の発信力強化に貢献して参ります。 さらに、SDGsへの取組も開始して参ります。製造業・販売者の団体である当協会は、SDGs 12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」に優先順位を設定し、 地球資源の有効活用に繋がる代替タンパク質の探索・プラスティック使用量削減・再生エネルギー使用などの情報を会員会社に提供して参ります。 その結果、社会課題解決への貢献と会員社がアジアを中心に製品輸出を検討する場合に求められるサステナブルな事業環境の整備に努めて参ります。
一般社団法人ペットフード協会 会長
児玉 博充