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ペットフードの基礎知識

ペットフードと添加物

添加物とは

ペットフードは、ペットが一定の栄養を安定的にとれるよう工夫されており、フードを通じてペットの健康に役立っています。安定的に栄養を提供するためのビタミン、ミネラルやアミノ酸などの栄養添加物、ペットフードの品質を一定に保つために使用される品質保持の添加物や、ペットの食欲を増進させるフレーバーなどの嗜好増進の添加物等、種々の添加物があります。

ペットフードに使用される原材料は、元々は自然・天然のものなので、そのままでは、そこに含まれる栄養素の量にバラツキが生じます。そこで、ペットフード中の栄養素を一定に保つために各種栄養添加物を使用します。ペットフードに使用される添加物は、食品や飼料に使用が許可されたもので、それらの添加物は人間および動物の健康を損なわないことを確認する安全性試験が実施されており、過去の使用実績等から安全であるとされているものです。

添加物の役割

ひとくちに添加物といっても、その役割や働きはいろいろあります。栄養分を強化し、栄養価を高める栄養添加物、酸化防止剤など品質を保持するための添加物、また嗜好増進を目的として酸などが利用されることもあります。ペットフードの栄養バランスを整え、有効成分を補強するためには、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類といった栄養添加物を欠かすことはできません。たとえば、猫は野菜等に多く含まれているカロチンをビタミンAに変換できないので、ビタミンAを添加して必要な量を摂取できるようにします。
また、日本人はわずかな色の違いにも敏感です。使用する原材料は、同じ種類でも産地や季節によって色が違うため、製品の色調がいつも一定になるように着色料が使われたりする場合もあります。そのほか、セミモイストやソフトドライフードなど半湿潤フードには、しっとりさを保つために湿潤調整剤が使用されています。

添加物を使用する際の基準と制限

日本では、ペットフード安全法で使用上の注意が必要な添加物について、科学的知見に基づき上限値が定められております。その他の添加物に関しては、日本国内の食品添加物や飼料添加物、アメリカ・ヨーロッパで定められた食品添加物またはペットフードに使用できる飼料添加物の基準等をもとに、各メーカーでその安全性を確認して使用しています。なお、飼料添加物として指定されている抗生物質や抗菌剤といった薬剤はペットフードに使用することはできません。また、特定のペットに使用すると弊害のあることが分かっている添加物は使用することができません。

添加物表示

ペットフードに使用される添加物は、まず初めにペットフード公正取引協議会でルール化され、使用した原材料(添加物を含む)全て記載するよう義務化されました。添加物の表示方法については「ペットフードの表示に関する公正競争規約」に定められ、ペットフードの製造に使用した添加物の個別の名称を記載することが、また、添加物を甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤および発色剤の目的で使用する場合は、何のために使われているのかがわかるように、その用途名も併記することになっています。これにあわせ、ペットフード協会では「ペットフードの表示のための添加物便覧」を作成して、消費者に分かりやすい表記になるよう、添加物表記の標準化を進めてきました。その後、ペットフード安全法でも添加物を含む原材料名の表示が義務付けられ、現在では、会員社のみならず、国内で流通するすべてのペットフードで添加物が表示されるようになりました。

酸化防止剤について

犬や猫は人間より体重あたりのカロリーを多く必要とします。そのためペットフードは、エネルギー源として油脂成分が多く含まれています。油脂はこのほかにも栄養成分として重要な働きがありますが、時間がたてば酸化や劣化が避けられません。
酸化が進むとペットフードの嗜好性が低下したり、体調が悪くなるなど健康にも悪い影響を及ぼすことがあります。また、総合栄養食には、必要とされる微量のビタミン類が多く含まれていますが、これらは酸化がはじまると有効性が薄れてしまい、保証された栄養バランスを維持することが困難になる場合があります。そのため、流通・保存期間中の酸化をゆるやかにし、製造されたときの品質を保つために酸化防止剤が使用されているのです。
この酸化防止剤は、保存料(腐敗の原因となる細菌やカビの増殖を抑制する働き)と混同されるケースがよく見られますが、日本の食品添加物では、両者はまったく別のものとして取り扱われています。
米国では、酸化防止剤が保存料の分類の中に含まれているため、米国での分類をそのまま訳したことから生じた誤解です。