室内飼育の基礎知識を知ろう!
近年はペット飼育が可能なマンションが増えてきたこともあり、室内のみで飼育される犬や猫が増加してきました。家族の一員という考えから大型犬でも室内で飼育するケースが珍しくはありません。このように、ペットと人が多くの時間と場所を共有することはたいへん喜ばしいことです。しかし、実は一見外よりも安全に思える室内にも、室内ならではの危険が潜んでいます。
そこで、室内飼いのメリットと共に室内でペットを飼育する時に注意をしなければいけないこと、心がけなければいけないことについても知っておきましょう。
室内飼いのメリットとは?
室内にペットがいれば自然と一緒にいる時間が長くなり、円滑なコミュニケーションが図れます。また、それと同時に健康管理もしやすくなります。いつでも目が届くところにいるため、体に異常があった場合、早期に気が付くことができます。トイレも室内でするため、排泄物に異常があればすぐに気が付くことができます。
ところが、室外飼育の場合には、飼い主さんの目の届かないところで危険なものを口にしたり、脱走して交通事故に遭ったり、迷子になる危険性があります。とくに猫の場合には、野良猫との接触やケンカによってケガを負ったり、伝染病をうつされることもあります。室内で飼うことによってそれらの危険を回避することができます。
室内飼いの危険を知ろう
しかし、だからといって、室内で飼育していれば安心というわけではありません。室内にもペットにとって危険となる意外なものがたくさんあるのです。
室内の危険、その1:お風呂場
お風呂場はペットにとってとても興味深い場所です。とくに、冬のお風呂場は暖かく気持ちのよい場所であるために、普段は水を嫌がる猫でもこっそり入って浴槽の蓋の上に乗ろうとすることもあるようです。もし蓋がきちんとされていなければ飛び乗った拍子に蓋がずれて、お湯の中に落ちてしまうかもしれません。浴槽の中はつるつるとして爪がひっかかりにくいため、溺れてしまうこともあります。もし、温度の高いお湯が張ってある場合には全身やけどを負ってしまう危険性もあります。
お風呂場の扉はなるべく締め切っておくようにし、もし換気などで開ける時には浴槽のお湯は抜いておきましょう。
室内の危険、その2:電気コード
電気コードのようなひも状のものはペットにとって楽しいおもちゃですが、もし、コンセントがささっている状態でかじったら、感電してしまいます。また、不用意に床にコードが延びている場合、走ってきたペットが足や爪を引っ掛けてしまうこともあります。電気コードは床や壁にぴったりと沿わせるように設置し、なるべくカバーをかけてかじられないように注意しましょう。
室内の危険、その3:ベランダ
マンションでペットを飼育している場合、たまには外を見せてあげようとベランダにペットを放す飼い主さんがいますが、ベランダは人が思う以上に危険な場所です。
特に猫は高いところを怖がりません。もし、そこで飛んでいる小鳥などを見かけたら、そこが何階であっても空中に向かって飛びかかっていきかねません。ペットをベランダに出すのは極力避けたほうがいいでしょう。
室内の危険、その4:フローリング
フローリングの床は掃除がしやすく、多くの家庭で取り入れています。しかし、ワックスでつるつるに磨き上げられたフローリングほど、ペットの足腰には大きな負担となります。フローリングを走るペットを見ると、多くの場合、滑りながら腰を捻ったり、転んだりしています。ペットにとっての理想はコルク材のような滑りにくく弾力のある床ですが、それが無理ならば、毛足の短いカーペットなどを敷いてあげましょう。
室内の危険、その5:誤食
好奇心旺盛なペットは室内に落ちているものは何でも口にしてしまいます。また、飼い主さんが留守の時にはゴミ箱をひっくり返してさまざまなものを食べようとします。
食べ物だけでなく、ボタン、硬貨、電池、針など口に入るものはなんでも危険だと思ったほうがよいでしょう。小さなこまごまとしたものはペットの口に届くところに置かない、ゴミ箱は蓋付きのものにする、台所の入り口にはペットゲートを設置するなどの工夫をしましょう。 また、人にとっては癒しとなる観葉植物の中には、ペットが口にすると毒となる植物がたくさんあります。ペットが家の中にいる時には観葉植物を置かないか、ペットが届かないところに吊り下げるようにしましょう。
ペットが過ごしやすい部屋作りをしてあげよう
危険を回避するだけでなく、室内という限られた空間で大部分を過ごすペットには、なるべく快適でいて欲しいものです。では、ペットが過ごしやすい空間とはどのようなものでしょうか?
ベッド・ハウス・トイレ・食器の置き場所
ベッドやハウスはペットがひとりでくつろぐことのできる場所です。家族の存在を感じつつも静かで落ち着ける場所、たとえばリビングの隅などに設置してあげましょう。
トイレと食事をする場所も同様に落ち着ける場所を選びますが、この二つはなるべく離すようにしましょう。
運動
室内飼育の場合、運動不足になりがちなことが一番の悩みかもしれません。 犬の場合は、毎日お散歩に行くことでそれは解決することができます。小さな愛玩犬であれば、室内でもかなりの運動量がありますので、特に長くお散歩に行く必要はありませんが、もともと運動量の多い大型犬、テリアのような狩猟犬などはお散歩に工夫が必要かもしれません。ドッグランなどで自由に走り回れる時間を作ったり、ボールやフリスビーを使った運動などを取り入れて発散させてあげるとよいでしょう。 猫の場合は、もともとお散歩のような持続的な運動は苦手な動物ですから、室内でも運動が足りないということはありません。もし、何かしてあげたいのであれば、飼い主さんが猫じゃらしなどのおもちゃで狩猟本能を刺激したり、キャットタワーなど登ったり降りたり上下運動のできる場所をつくってあげるとよいでしょう。
温度管理
ペットと一緒に暮らしていても、ついつい人の都合でエアコンを入れてしまいますが、ペットと人では気温の感じ方が少し異なります。
犬は人よりも少し低めの温度を快適と感じ、猫は少し高めです。ですが、クーラーの冷気は床にたまり、低いところにいるペットは人よりも寒く感じることがあります。また、部屋は涼しくても窓際の直射日光の当たる場所だけ暑くなっている場合もあります。ペットがいる位置、特にペットのハウスが置いてある位置の温度には常に気をつけるようにしましょう。もしも真夏や真冬にお留守番をさせるときにはかならず部屋の温度に気をつけてからでかけましょう。
ペットとの共生住宅を作ろう
一昔前と今では家の構造もペットの飼い方もずいぶん変わってきました。それは、ペットをただ甘やかして自分の手元で飼うのではなく、本当にペットを家族の一員として迎えるようになったためだといえます。
ペットと人が住みやすい家とはどういうものか、よく考えてペットと人の共生住宅をそれぞれのご家庭で作っていくことが望まれます。