配合栄養分
ペットは飼い主から与えられた食事のみで栄養素を摂取しなければなりません。そのため、ペットフードには、いつも一定で安定した栄養成分が含まれている必要があります。例えば、たんぱく質を構成するアミノ酸の中で、動物が自分の体内で作ることができないため、必ず食物から摂取しなければならないものがあります。それは必須アミノ酸といい、その数は人間が9種類、犬は10種類、猫は11種類あります。ペットフードは、このような栄養素をバランスよく含んでいます。
人間や犬や猫が必要とする栄養素の種類はほぼ同じですが、食性・代謝が異なるために必要とする栄養素の量が大きく異なります。また、動物種やその成長の過程でも下記の表のように一日あたりの体重別エネルギー要求量が異なります。更に、犬や猫はエクリン汗腺が肉球にしかなく、全身に汗をかくことができないので、人間と違い、余分な塩分を汗によって排出することができません。そのため、必要以上に塩分を摂取すると、腎臓や心臓に負担がかかることになります。また、人間には害がなくとも、犬や猫にとっては好ましくない香辛料やネギ類などの食材があり、摂取すると中毒症状を起こす場合もあります。
成犬一日あたりの体重別エネルギー要求量
猫のステージ毎の一日あたりのエネルギー要求量
子猫の 週令 | 雄 体重(kg) | 雌 体重(kg) | kcal/体重(kg) |
---|---|---|---|
10週 | 1.1 | 0.9 | 250 |
20週 | 2.5 | 1.9 | 130 |
30週 | 3.5 | 2.7 | 100 |
40週 | 4.0 | 3.0 | 80 |
成猫50週令以上 | kcal/体重(kg) |
---|---|
不活発 | 70 |
活発 | 80 |
妊娠期 | 100 |
ペットフードの給与方法
成長段階(ライフステージ)により必要となるエネルギー量が異なるので、それぞれの成長段階に合わせ、栄養バランスが考慮されたフードを与えることが必要となります。一日あたりの必要エネルギー量を目安に、与える食事にどのくらいカロリーが含まれるかで一日の給与量を算出し、それを食事回数で割って、一回あたりの量を決めます。冬は寒さをしのぐため消費カロリー必要量が高くなるといった季節による変動も考慮する必要があります。
食事回数の目安は、成犬や成猫では一日1~3回ですが、できる限り朝晩の2回以上とすることが望ましいと言えます。空腹の時間が長いと、嘔吐したり(胃液や胆汁を吐いたり)、体が飢餓状態にあると勘違いして必要以上に脂肪を貯めこみ肥満の原因となります。
尚、犬は犬種や成長段階によってかなりの体重差がありますので、その犬の体重に見合ったエネルギー要求量に合わせることが必要になります。ペットフードのパッケージには、このような点も考慮して、フードの給与量、給与回数などの給与方法の目安が表示されています。
栄養成分表示
ペットフードの栄養成分は、下記5成分の表示が義務つけられています。
たんぱく質:%以上
脂質:%以上
粗繊維:%以下
灰分:%以下
水分:%以下
必要に応じて他の成分も記載されていますが、栄養上必要であるたんぱく質や脂質は最低含有量を保証し『以上』と表示され、一方水分、繊維や灰分は保証値より多いとカロリーが低下したり、一定の栄養を摂取できない恐れがあることから、最大含有量を保証し、『以下』の表示をしています。
犬と人はここが違う
犬はもともと肉食動物ですが、人間との長い共生の歴史によって、雑食性の動物となっています。カルシウムやリン、カリウム、鉄といったミネラルは、特に発育途中の犬の骨格や体作りに欠かせない栄養素です。一方、ビタミンCは、人は体内で生成できないので、食べ物から摂取する必要がありますが、犬は体内で生成することができます。
猫と人はここが違う
肉食動物である猫は、人や犬より多くのたんぱく質や脂質を必要としています。猫の必須アミノ酸のひとつであるタウリンは、不足すると目の障害を引き起こしたり、心臓疾患を引き起こしてしまう恐れがあります。また、猫は必須脂肪酸であるリノール酸からアラキドン酸を体内で生成することができません。このタウリンとアラキドン酸は、肉や魚の動物性食品にしか含まれていません。更に、猫は野菜に含まれるカロチンを分解してビタミンAを摂取する機能をもっていないので、ビタミンAもビタミンAを含む動物性食品から摂取する以外にありません。猫にとって動物性食品は不可欠なものです。