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基本のしつけについて

「子犬を飼う」ということは小さな子供が増えるのと同じぐらい大変なこと。子犬を育てていくことは人間の赤ちゃん同様に手間も時間もかかります。そして成長した時の犬の性格や行動には、飼われている家庭環境や飼い方がよく現れるものです。将来愛犬を家族として社会に認めてもらうようにするためには、やはり子犬の時にきちんとしつけをすることが必要になります。

飼い主さんも、しつけ方を学ぼう

犬はもともと高い学習能力や順応性をもっているので、飼い主さんのしつけ方によっては犬の行動も驚くほど変わってきます。つまり、しつけは愛犬と飼い主さんとの共同作業であるため、しつけを教える飼い主さん本人もしつけ方を学ぶ必要があるのです。

信頼関係を築こう

しつけの基本は飼い主さんの指示に犬がきちんと従うようになることです。しかし、しつけのルールはあくまでも人間が決めたこと。その中には犬の本能に反するものもあります。飼い主さんが望んでいない行動でも、犬にとってはきちんとした理由があって行動していることもたくさんあるのです。
「犬がどんな気持ちで、なぜそういう行動をしているのか」を飼い主さんが理解することはとても大切です。犬の気持ちを考えながらしつけのトレーニングをすることで、それが愛犬とのコミュニケーションの時間となり、よりよい信頼関係を築くことができます。また、日頃から愛犬とのスキンシップの時間をたっぷりととることも信頼関係を深めるために大切なことです。
信頼関係を築くことができれば愛犬は自然に飼い主さんをリーダーとして認め、言うことを聞くようになるのです。

家族内でしつけのルールを決めよう

例えば人間にとって「おすわり」と「すわって」は同じ行動を示す言葉ですが、その言葉を知らない犬にとってはまったく違う言葉であるため、バラバラの号令をかけると混乱してしまいます。ですから、しつけの号令は同じ言葉に統一するように、家族全員であらかじめ決めておきましょう。
同じように家族で「こうしたらほめる」「こうしたらダメ」などのルールもあらかじめ決めておきましょう。同じことをしているのにほめられる時とそうでない時があっては、犬はどうすればいいのかわからなくなってしまいます。犬に「例外」は通用しません。ルールを決めたら、家族全員で実行するようにしましょう。

あせらず、ゆっくりとほめて育てよう

犬の学習能力には個体差があります。他の犬と比べて焦って感情的になってしまうと、愛犬はそんな飼い主さんの気持ちを敏感に察知します。イライラしたり、投げやりな態度では愛犬も信頼してはくれません。例え覚えが悪くても、他の犬と比べてあたってはいけません。
経験によって学習する犬は、楽しいことは喜んで繰り返しますが、イヤなことはなるべく避けたいと考えます。怒られてばかりいると犬は反発したり怖がったりするだけです。 しつけで最も大切なのは「ほめること」です。飼い主さんがほめ上手になって犬をやる気にさせれば、しつけを成功させる近道になります。

次にしつけの基本となる「おすわり」「ふせ」「まて」のトレーニング方法をみていきましょう。

「おすわり」のトレーニング

頭の上でオモチャや食べ物など、愛犬が好きなものを見せ、そのままゆっくりと後ろへ動かします。すると見上げるような姿勢になるため、自然と床に腰を下ろします。
「おすわり」と言いながら誘導し、床にお尻がついた瞬間にたっぷりほめてご褒美を与えます。

「ふせ」のトレーニング

まず「おすわり」をさせ、犬の鼻先におやつなどをかざし、それを犬の前方の床まで移動させます。犬がつられて体を低くすれば、自然に「ふせ」の姿勢になります。胸を床につけたら、ほめてご褒美を与えます。
もし、その方法ではなかなか伏せをしてくれない場合は低い場所をくぐらせて必然的に伏せの姿勢をとらせる方法もあります。例えば飼い主さんが床に座り、犬が伏せの状態で通れるくらいの高さに足を折り、おやつで誘導しながらその足の下をくぐらせます。
その後、「ふせ」と言いながら同じ動作を繰り返し、できたらご褒美を与えます。

「まて」のトレーニング

犬と並んで立ち、おすわりをさせて犬の気持ちを飼い主さんに引きつけます。次に犬の正面に立って「まて」と言いながら手のひらを犬の顔の前に向けます。
このとき、犬が動こうとしたらもう一度「まて」と言いながら手のひらを犬に向け、動きを止めます。じっとしていられたら、その後「よし」と声をかけて解放し、ほめてご褒美を与えます。それをごく短い時間から始め、待たせる時間を少しずつ延ばしていきます。

日常生活に生かそう!

「おすわり」、「ふせ」、「まて」を覚えたら、それでしつけは完了というわけではありません。
大切なのはきちんと覚えたこれらの行動を、日常生活の中でどのように生かしていくかということです。しつけ本来の目的は、ただ単に教えたことをできるようにするのではなく、犬が人間社会の中で快適に暮らしていくためのルールを教え、どんなときでも飼い主さんに従って正しい行動ができる犬に育てることなのです。基本のしつけをお散歩や外出時などの日常生活に上手に取り入れてみましょう。飼い主さんへの服従や自制心はさらに養われ、飼い主さんが主人=リーダーであることを犬は常に再認識し、この人といれば安心、と思わせることができるようになるはずです。
人と犬が仲良く暮らすためにどちらか一方が我慢するのではなく、理解しあってお互いが気持ちよく暮らせるようになることが、ペットとの理想の生活です。